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2006年7月 2日 (日)

夢と現実の間で(10)

私はまだ椅子に座っていた。なかなか先生が来ない。「先生遅いね」と言って準備をしていた若い助産師さんが右奥の部屋に様子を見に行った。

しばらくして、女医さんと一緒に戻って来た。なんとなくホットした。若い助産師さんにそっと聞いてみる「女の先生だけ?」助産婦さんは黙って首を振った。

それから分娩台に右向きに横になる。背中いっぱいに消毒。女医さんはひとつひとつ今からどんな事をするか説明しながら、進めてくれた。しばらくして何人かの先生が来た。

いよいよ。カテーテルを腰に挿入。

「もう!!注射なんて大嫌い」そう言うと、怖くって何かにすがりたかった。左手で何もないのだけれど、手が何かをつかみたくて探していると、目の前にいた若い助産師さんが手をぎゅっと握ってくれた。私も思いっきり握った。主治医がその横にも立っていた。

背中を突き出す。右手は行き場がなく。自分の頭をぎゅっと握っていた。

お兄ちゃんの時は帝王切開。あの時はちょっとずれてしまったのか?足がとてもしびれて痛かったのを思い出す。体は怖くってガチガチだった。冷や汗が出て来る。
でも、今回はあの時程痛みがなかった。でも、痛かったけど。

「あとテープで止めるだけですよ」女医さんがひとつひとつ説明してくれた。
腰に刺したチューブの先を左肩で止める。

主治医が仰向けに起こしてくれる。「あ・・・本当。汗びっしょりだね」

そして女医さんがとめたチューブの先から、麻酔を入れた。「ちょっと冷たいですよ」

「あ・・・本当だ・・・」背中を通って冷たいものが流れるのが分かる。

「足が温かくなってきたような感じがしませんか?」と女医さんに聞かれるが、「緊張していて良く分からない。あ・・・でもしびれてきた・・・」
主治医が「それでいいんですよ」

下着を若い助産師さんが、突然脱がす。

私を挟んで主治医と女医さんが「じゃ・・・15分」と確認していた。
それからまた右奥の部屋に2人行ってしまった。15分で麻酔が効いてくるようだ。

分娩台の上に、下半身は何もつけない状態で、足を折り曲げ待った。寒かった。
何もかけてくれなかった。

私の左に若い助産婦さんが椅子を置いて座った。

「私ね。3人目なの。だから、最後にしようと思ってた。そう思っていたのに」
両手で顔を覆い、声を出して思いっきり泣いた。
若い助産師さんが声を掛けてくれたが、よく覚えていない。

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