« 夢と現実の間で(7) | トップページ | 夢と現実の間で(9) »

2006年7月 2日 (日)

夢と現実の間で(8)

病室に帰って休む間もなく担当の助産師さんから声が掛かる。

「夕飯前に処置も終えた方がいいと思うので、すぐに行きましょう」

もう・・・嫌だった。痛いのはもう嫌。一生懸命涙を堪えていたけど、もう止まらない。

妹が持って来てくれたパジャマはスウェットの上下、今から処置をするのにそれよりは・・・と、助産師さんが病院着を薦めたので、着替える事に。

助産師さんが病院着を持ちにいっている間、とても不思議な感覚があった。

夢かもしれない。私は・・・今夢の中かもしれないって。早く横になって目覚めたい。
いつも夢の中でも横になると目が覚めたりする。

「今は夢の中なのかな?」と母に聞いていた。
母は・・・「本当・・・夢だといいね」って・・・。

着替え終わって、病室から出るのをためらっていた。泣いていた。

泣いている私に母が「もう泣かないで」と強い口調で声を掛ける。

病室を出て、すぐに左にトイレ、右には新生児室、授乳室がある。
対面の時間、何人かの方が廊下にいた。赤ちゃんを眺めていただろうか・・・。

その横を助産師さんに腕をつかまれ、泣きながら足が進まない私がいた。
パパも頑張ってと後ろから声を掛ける。

助産師さんが私を支えながら声を掛ける。
「ずっと怖かったんだよね。一人でずっと怖い怖いって思っていたんだよね。怖い時は足がすくむよね」

スリッパを履き替え、分娩室に入る。分娩台がある。冷たい分娩台。
こんな気持ちで上がるにはかなりの抵抗があった。

分娩台にはすぐに上がらずに、その脇に椅子が2つあった。若い助産師さんがいたが、右奥の部屋に行った。

泣きながら言った。

「普通の出産の時は呼吸法だとか、そういう事は沢山教えてくれるけど、帝王切開とかこういう時の心構えなんて、誰も教えてくれなかった」

誰に言ったわけではなかった。1人で怒りをぶつけていた。

|

« 夢と現実の間で(7) | トップページ | 夢と現実の間で(9) »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/116388/3740393

この記事へのトラックバック一覧です: 夢と現実の間で(8):

« 夢と現実の間で(7) | トップページ | 夢と現実の間で(9) »