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2006年7月 2日 (日)

夢と現実の間で(9)

それから助産師さんと向かい合わせ、椅子に座った。
二人っきりで話しをした。

「痛みに弱いって例えばどういう事?」

無我夢中で、目で見えない所でいきなり痛みが襲ってくる。それが嫌だと説明する。

私はかなり取り乱していたのだろう。
助産師さんがこれからの処置を詳しく説明してくれた。説明にもとても力が入っていた。

そして、「初期の時のいわゆるソウハとは違うの。今から出産するのよ。赤ちゃんとの対面はどうする?」

「え??・・・・皆は・・・?みんなはどうしてるんですか?」

私を静めさせようと、また助産師さんに力が入っているのが分かる。

「赤ちゃんもね、7ヶ月お腹の中で一緒に一生懸命頑張ったのよ。頑張って来たのよ。今すぐに決めなくってもいい。でも旦那さんには強く言うの。あなたは父親でしょ。だから会って、抱っこしてあげて!って」

そう言われても、あの時はどうすればいいか分からなかった。

お腹の中で亡くなっている。亡くなっている子を出産して・・・抱っこ?

何がなんだか、どうしていいのか。分からなかった。


助産師さんが右奥の部屋に足早に去って行った。奥で誰かに声を掛けていた。
誰に向けてだろう。「とにかく丁寧に、手早くね」

そして入れ替わりに若い助産師さんが遠くから声を掛けてきた。「○○さん大丈夫?」

「大丈夫じゃない、今まですごく頑張って来た。でも、もう頑張れない」
なげやりにそう言った。

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